改修工事レポートREPORT

排水管の改修戦略②

2018/9/26

[築25年のマンションに住むBさんとCさん]

 

別の築25年のマンションに住むBさんは、昨年度、管理組合が実施した「排水管劣化診断」によって、自分のマンションに3種類の管材が使われていることを知る。

ちょうど自分が今期の管理組合理事長を務めることになったのだが、まずはその劣化診断の結果と排水管の管種を図面上で色分けしてみた。

これをもとに理事会で検討した結果、次のような排水管の維持管理方針を立案した。

 

①共用の立て管は塩ビコーティング鋼管(ARFA)が使われている。最低あと10年は使えるとのことだったので長期修繕計画を見直し、共用立て管は10年後の更新とした(図1の緑色の部分)

 

②専有の台所排水管は配管用炭素鋼鋼管が使われおり、立て管まで単独で敷設されている。腐食が激しく漏水の危険があるとの診断結果を受け、まずはこの部分のみを管理組合で全戸一斉更新したいと考え、その旨を総会に上程した。(図1の赤色の部分)

 

③専有のトイレ裏の排水管(図1の青色の部分)は、さほど腐食はしていないので、立て管と同じ10年後に更新することで長期修繕計画を見直した。ただし、この部分は専有部分であるので、各戸がリフォームなどにより各々の判断で管を更新することは構わないことを明記し、ただし10年後に立て管を更新する時には、工事上の理由から、再度更新せざるを得ない、ということも、細かく補足説明した。

 

④ユニットバスの真下にある配管用炭素鋼鋼管(図1のピンク色の部分)を更新するには、ユニットバスをもいったん解体しなければならず費用がかさむ。現時点ではさほど腐食が進行していないこともあり、この部分については管理組合で一斉に更新するようなことはせずに、各戸で更新してもらうこととし、ユニットバスをリフォームする際には、当該部分を必ず各戸で更新するよう、「専有部分のリフォーム細則」を改正し、総会に上程した。

 

⑤それ以外の部分(図1で着色していない点線部分)は、塩ビ管(VP)が使われているので、腐食は発生しない。更新の必要はないので、今後も各戸で維持管理していくこととしたが、心配な人はリフォームに併せ管を更新していくことが模範的である、という方針を説明した。

 

総会で説明を聞いたCさんは、ちょうど翌年にユニットバスを新品に入れ替えるリフォームをするのであるが、ユニットバス工事業者にリフォーム細則を見せて、ピンク色部分の配管用炭素鋼鋼管をついでに更新してもらった。この部分(図のピンク色)の排水管更新にかかった費用はたった1.5万円だったそうだ。

 

AさんとCさんの違いが、おわかりいただけたことと思う。Bさんは見事な采配であった。

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