排水管高圧洗浄の落とし穴
排水管は管内の定期清掃が必要で、通常1~2年毎に高圧洗浄を実施されているマンションが多い。
高圧洗浄は、管内に洗浄ホースを挿入し高圧水洗するものであるが、この洗浄ホースの外皮に写真①のようなステンレスワイヤーメッシュなどの金属被覆が施されたホースで洗浄してしまうと、長年の繰り返しにより例の①〜③のように継手の一部分を削ってしまい、穴があいてしまうのである。
写真①−問題のステンレスワイヤーメッシュの洗浄ホース
お金をかけて、真面目に排水管を維持管理していたつもりが、管の寿命をも削ってしまった訳だ。
最近では、このような管を痛める洗浄ホースは使わずに、ゴム被覆などが施された管にやさしいホースを使用することが常識であるが、中には依然ステンレスワイヤーメッシュを使用している業者もいるようなので、注意が必要だ。
ステンレスワイヤーメッシュによる損傷と劣化
【例①】
ステンレスワイヤーメッシュで洗浄し、立て管合流継ぎ手の「のど部」が削れてしまった。
【例②】
ステンレスワイヤーメッシュホースによる長年の洗浄で、継手の一部分が集中的に削られていく様子。このまま続けると穴があく。
緑の線は引き上げる時の軌跡を示したもの
継手の○印の部分が下の写真のようにホースで削られていく
【例③】
ステンレスワイヤーメッシュホースによる長年の洗浄で漏水した事例
洗浄業者は居住者へ「補修をしておきました」といって帰っていったそうだ。
私がたまたまこのマンションに訪れこの写真を撮影したのがその後、数ヶ月経った後である。
パイプシャフトの点検口を開けると、「継ぎ手のど部」にゴム材が貼り付けられていたが、床面は濡れてウジ虫が無数にわいていた。この状態では一見しただけではウジ虫はなかなか気がつけない。ライトを当てると無数の小さな光がキラキラ動くので気がつける。壁面には多数のコバエがいる。
排水管の種類と腐食の①〜⑥では、このような老朽化や維持管理にまつわる問題を紹介してきました。
では、どのように対処していけばよいのか。
次回からはいよいよその改修対策編に入ります。