改修工事レポートREPORT

排水管の種類と腐食③

2018/8/10

前回に引き続き、マンションで使われている排水管の老朽化にまつわるトラブルについて述べていきます。


排水用塩化ビニルコーティング鋼管の腐食

前回示した配管用炭素鋼鋼管の腐食問題への対応と、マンション建設ラッシュによる施工省力化の要請を受けて、昭和50年代に入り登場した排水用塩化ビニルコーティング鋼管について触れていく。

通称「アルファ鋼管」とも呼ばれるこの管は、配管の軽量化を図るため薄肉の鋼管を採用(100Aで1.0㎜薄)、接合はねじ切りではなく管を受け口へ差し込むだけの方法とし、工場であらかじめ必要な寸法に加工して現場に納品する「プレハブ加工工法」により現場施工の省力化を実現した。

防錆処置として内外面ともに塩化ビニル樹脂による被覆が施されているが、密着精度があまり高くなく、使用開始後25年を過ぎる頃に膨れ始める。そのうち、被覆が膨れた部分から剥がれはじめ、鉄部があらわになり露出された鉄部がピンホール状に腐食する。

このような過程で鉄部の浸食が始まった場合、集中的に浸食が起きることと、もともと薄肉であるということが漏水の発生を心配させる。

また、差し込み接合部分の管端部分や溶接加工部分といった場所は、特に被覆が剥がれやすいので、局部的に腐食が進行する。

平成に入ると、さらに耐火二層管などの普及が浸透したことや、このアルファ鋼管を唯一、製造・販売していた会社の倒産により、市場から姿を消した。

そして今現在、このアルファ鋼管の更新工事が既に始まっているのである。

写真1-アルファ鋼管内面の塩ビ樹脂被覆の膨れ

写真2-膨れが破れると、鉄部の腐食が始まる

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