マンションを長持ちさせるためには、給排水設備の経年劣化を、キッチリ直しきらなければなりません。「ライフライン」は、住む人の日常生活を支える根幹だからです。
給排水管の改修が今盛んに行われていますが、マンション改修分野においては既に30年以上の歴史があり、現在は「第3世代」ともいえる時代に入ったと感じています。
昭和の後半のころ、マンションが大量に新築されていくのを横目で見ながらいちはやく築20年を迎えた先輩マンションにおいては、給水管の赤水問題などに代表される「配管の老朽化」にこの頃既に直面していました。当時は耐用年数が48年とか60年とかといわれていた鉄筋コンクリート建物において、わずか20年たらずで給水管からの漏水や赤水の発生に悩まされてしまった訳です。とにかく、その頃の建物は設備の維持管理を考慮して建設されておらず、現在のような「設備を丸ごと更新する」ということを現実的に捉えていない時代でありました。
そんな中で、我が業界の原点ともいえる建設省総合技術開発プロジェクト「建築物の耐久性向上技術の開発」が5年を掛けて実施され、設備部会においてまとめられた「建築設備の耐久性向上技術」が発表されたのが1986年(昭和61年)です。ここで「設備配管の劣化診断」の必要性や「耐久性の向上」という考え方が唱えられることになりました。と同時に、給水管の赤水問題などになんとか対処していこうと、いくつかの「更生工法」が誕生し、給水管の赤水問題を救済してくれました。このような時代を経験した、いわば第一世代ともいえる、現在築50年前後の高経年マンションでは既に「2回目の設備改修」を経験されているようです。
平成に入り社会的にも設備改修の必要性が認知され、なんとかして管を更新しようという気運は高まり、以前では工事をあきらめていたような「ものすごく狭いパイプスペースの中での更新工事」といった難易度の高い物件も、苦労を重ねながらひとつひとつこなしていき、業界全体が果敢に更新工事に挑戦し経験を積んでいきます。そんな中、阪神淡路大震災を経験し、屋上の高置水槽や建物導入部の配管類などを中心に設備的にも被災しました。もはや延命措置では限界で、耐久性の向上にあわせて耐震性をも向上させる改修が求められ始めます。この当たりを第二世代と呼べそうです。
その一方で、「いい加減な改修」や「至らない改修」が巷で目に付くようになります。そのような悔いの残る改修を行ったマンションは、やがて、もう一度改修しなければならないという事態を迎えることになります。そのような苦い経験も積みながら、現在では「マンションは100年持たせるもの」という考え方がすっかり浸透してきました。
マンションを100年持たせるには「やり残し」があってはならず、やりやすい方法主義による改修ではなく、「長い目で見てどうあるべきか」という理想を追求する改修が、いま求められています。
それには、延命工法や単純に配管を更新するだけでは到達できません。新しい技術やアイデアを盛り込み、今の時代に求められている耐震安全性や災害時対応にも配慮しながら、将来の室内リフォームがやりやすくなるような共用設備の改良という考え方も必要になってきます。室内水回りのリフォームがしやすいマンションは、これからの中古住宅市場で高い評価を受けます。第3世代の設備改修においては、いかに将来を展望できるかが勝負で、その上で設備をどのように改良していくかという「コンセプト」を明確にすることが重要です。特に高経年マンションにおいては、設備改修のあり方が、そのマンンションの寿命を大きく左右するといっても過言ではありません。
名称 | 有限会社マンションライフパートナーズ |
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登録 | 一級建築士事務所 東京都知事登録 第51570号 |
所在地 | 〒169-0074東京都新宿区北新宿1-1-16 JSビル504 |
創業 | 2003年(平成15年) |
資本金 | 300万円 |
スタッフ | 3名(一級建築士・設備設計一級建築士・建築設備士・一級管工事施工管理技士) |
TEL | 03-3364-2457 |
FAX | 03-3364-2458 |
代表者氏名 | 柳下 雅孝(やぎした まさたか) |
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保有資格 |
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所属団体 |
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著書 |
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連載 |
「設備と管理(オーム社)2012年10月号~ マンションを100年持たせる設備改修」 |
JR総武線大久保駅南口から徒歩3分