改修工事レポートREPORT

いまマンション設備が危ない②

2018/4/11

前回の残念な修繕工事事例パターン1~2はご覧いただけましたでしょうか?

その他のパターンの事例を見ていきましょう。


[パターン3:想像力の欠如]

<写真9>

都内、3階建てのマンション

給水方式を直結方式に改修したので、高置水槽が不要となったが、水を抜いたまま撤去しなかった。

強風で落下したが、幸いにも電線に引っ掛かりけが人は出なかった。

この水槽の問題については、このシリーズで詳しく述べていきたい。

参照 「タンク 強風」で検索 読売写真館より

 

[パターン4:直すべき所を直さない]

<写真10>

都内某マンション 築40年程度、室内の床コロガシ給水管

居住者いわく「うちは5年前に大がかりなリフォームをしたので、その時に室内の給水管を全部交換した」

しかし、実際は床の中に更新されていない給水管が残っていた。

 

<写真11>

都内大型マンション 築30年程度、室内の排水枝管

やはり同じように居住者は「リフォーム時に室内の排水管を全部交換した」と主張された。

しかし、共用立て管から50㎝程度の枝管は腐食した管が残っていた。

ブロックで囲われたパイプスペースの中まで更新する必要はないだろうとリフォーム業者は、勝手に判断したのであろう。

「こういう事情だから、この部分はこうします」という説明をするだけで、以後のことがだいぶ変わってくるものだ。専門家の説明責任は重要だ。

説明責任とはなにか。この重要なテーマについても触れていきたい。

 

[パターン5:住民の気持ちがわからない]

<写真12>

都内某マンション 築30年程度

台所排水管を鉄管から塩ビ管に更新されていた。

しかし、長年使ってきた汚れた排水管を撤去せずに床の中に置いていった。

気持ちの悪いものである。

 

[パターン6:もはや配管工事とは呼べない]

<写真13>

 

都内某マンション 昭和43年竣工(築44年)

築40年目である平成21年に排水管の漏水対策としてライニング更生工事を行ったそうだ。

配管の腐食による摩耗は既に激しく、更生工事は適用不可能と判断されそうであるが、ライニング業者は問題ないといっていたので実施した。

その結果、やはりライニング施工中に管接合部にかなりの数の穴が開いたが、その都度、業者のいう「専用のテープ」なるもので穴を巻いたそうだ。穴はあちらこちらで開き、終わってみれば、大半の排水管は巻かれたテープだらけとなってしまった。

とりあえず、漏水は止まったが、配管の強度は低下したことであろう。管内面の排水の流れも心配だ。

居住者いわく「だったら、最初からテープだけでいいじゃないか!」

叫びたい気持ちはよくわかる。

そのライニング業者は翌年に倒産した。


これだけを取って見てしまえば、悪質な施工事例集で終わってしまうかもしれません。

しかし、その背景にあるものは、発注者である、管理組合側にも問題があるのです。慌てて工事をするから、「片手落ち修繕」や「目の前だけの対処療法」を選択せざるを得なくなるのです。

「設備の改修なんて、水漏れが起きてから考えればいい」という人もいます。そのような「事後修繕」という考え方もあるでしょう。けれど、だいたいがこれまで見てきたような実情に陥るのです。その結果、再度工事が必要になり、結果として無駄なお金を使うことになるのです。(その無駄であることさえも気がつかないことでしょう)

特に分譲マンションにおいては、漏水などトラブルが発生する前に「計画的に改修」することが大切です。

分譲マンションの改修工事は、いろんな考え方をもった、多くの居住者の期待のもとに行われるひとつの事業です。行き当たりばったりの修繕を繰り返していては、不完全なものとなり、結局は二度手間工事となり、管理組合の経営に大きな影を落とすことになるのです。

 

次回テーマは「排水管について」

 

CONTACT

マンションの改修・修繕・管理・給排水設備等はマンションライフパートナーズまで、お気軽にお問い合わせ下さい。

  • 03-3364-2457
  • 03-3364-2458
メールでのお問い合わせはこちら