改修工事レポートREPORT

いまマンション設備が危ない

2018/4/11

今回からシリーズでお伝えしてまいります。

第1弾は「マンションの設備について」

まずはじめにご挨拶を込めた、現在のマンションのあり方から


マンションを長持ちさせるためには、まず設備の劣化をキッチリ直しきらないとなりません。設備=ライフラインは日常生活を支える根幹だからです。

分譲マンションの設備改修には、既に30年余りの歴史がありますが、いままさに「第三世代」ともいえる時代に入ったと感じます。

昭和の終わりのころ。マンションが大量に新築されるのを横目で見ながら、いち早く築20年を迎えた建物においては、既に給水管の老朽化対策に悩まされていました。その頃の建物は維持管理を想定して建設されておりませんので、現在のような「設備全体を入れ替える」というようなことは現実的にとらえられておりませんでした。そんな中でも、なんとか対処していこうという発想のもと、多くの更生工法が誕生し、給水管の赤水問題などから救済してくれました。そして、その時代のマンションでは「第2回目の設備改修」が既に始まっています。

平成に入り、社会的にも設備改修の必要性が認知され、なんとかして配管を「更新」しようと、以前は改修をあきらめていた(例えばものすごく狭いパイプスペースの中での更新工事のような)難工事も、苦労を重ねながら改修をこなしていき、業界全体が経験を積んでいきます。

しかしその一方で、残念な「片手落ち改修」や「やり残し改修」が巷で行われてしまいます。そのような不適切な改修を行ったマンションは、やがて、もう一度改修しなければならないというような事態を迎えることになります。

そのような歴史をたどり、現在では「マンションは100年持たせるもの」という考えがすっかり浸透しました。100年持たせるには「片手落ち」や「やり残し」があってはなりません。「やりやすい方法主義」とも言うべき露出工法による改修ではなく、「長い目で見てどうあるべきか」という理想を追求する改修が、いま求められております。

その理想には、ただ単純に配管を更新するような改修手法では到達できません。新しい技術を盛り込み、今の時代に求められている耐震安全性や災害時の対応にも配慮しながら、さらには「専有部リフォームがやりやすくなる」共用設備の改良という考え方も必要になってきます。室内水回りのリフォームがしやすいマンションは、これからの中古住宅市場で高い評価を受けるはずです。


 

いまマンション設備が危ない!?

仕事柄、古いマンションの中を見る機会が多いのですが、特に最近「問題だなぁ」と思わされる事が増えてきました。 それは、何らかの不具合があって補修や修繕をされたと思うのですが、その工事があまりにもお粗末と言わざるをえないものに出くわしてしまうことが多いのです。

設備は普段見えないところにあるため、居住者はどのような修繕工事を行ったのかわかりませんし、一般の方にとっては、それがどのような問題を含んでいるのかがわかりません。

問題を大きく分類すると以下の3つになるようです。

  1. 直さなくてよい所を直す
  2. 直し方が違う
  3. 直すべき所を直さない

①については、いわゆる悪徳リフォームの領域ですから、いまさらここでいうところではありません。

②については、本当の専門家が見ないと何がいけないのかがわからないと思います。

③は一番問題だと思います。例えば、住民が「直した」と思って安心している所で、実は直させていなかったというものです。漏水事故などが発生して初めてこのことに気づかされ、痛い思いを味わうことになります。

 

今回は、このような残念な修繕工事事例を見ていきたいと思います。 現場でどんなことが起きているのか、気づかない見えないところでどうなっているのか、まずは皆さんに実情を知ってもらうことから始めたいと思います。

当然、このような直し方をしていては、決してマンションは長持ちしませんので。


[パターン1:あり合わせの材料で]

<写真1>

都内某マンション 築35年程度、メーターボックス内の給水立て管

漏水の補修と思われるが、ソケットが無数に使われている。接合部は腐食が生じ、強度も下がるので地震時に心配である。応急とはいえ、あんまりだ。

 

<写真2>

都内某マンション 築35年程度、室内の天井排水管

寸足らずでソケットで継ぎ足す。しかも排水用ではなく給水用の継手が使われている。給水用は管内面に段差が出るので排水が詰まりやすくなる。無用なネジ切りにより寿命も早まる。

 

<写真3>

都内某マンション 築40年程度、室内の天井排水管(塩ビ管)

排水管が塩ビ管に更新されているが、電線管に縛って取り付けられていた。

排水管は勾配が命であるので、固定は重要である。

 

<写真4>

写真3と同じマンション

同じく室内の天井排水管(塩ビ管)

今度は支持金物で吊ってはいるが、サイズが違うのでブカブカ

 

[パターン2:計画性のない仕事・プライドのない仕事]

<写真5>

都内大型マンション 築30年程度、各戸メーターまわり給水管

それなりに業界では名の通った工事会社ではある。水の出には大きな支障はないだろうが、不要な継手が多数使われている。継手は漏れる可能性のある場所な訳だから、極力少なくするよう努めるものである。

事前に計画をキチンとすれば、このような配管にはならなくて済む。

 

<写真6>

都内某マンション 築40年程度

室内の天井排水管(塩ビ管)を塩ビ管に更新したのだが、「鉛管」との接続の仕方を知らないらしく、ビニールテープで繋げていた。

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<写真7>

写真6と同じマンション

ビニールテープ部分からは、いずれ排水が漏れ出すことになるが、漏れ出す量が少ないので、この天井内の状況に居住者は気がつけない。

気がつく状況になるまでは長い時間を要するが、そのころの天井内は悲惨な状況となっていることであろう。

 

<写真8>

都内某マンション 築40年程度、メーターボックス内の給水枝管

給水枝管を塩ビ管に更新したのだが、水道メーターとの接続において、鋼製丸ニップルを使ってしまい、10年足らずで漏水に至った。床面には錆汁の落下跡が見える。


次回記事にて別パターンの事例を紹介いたします。

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